
【概要】 消防庁は令和8年1月29日、リチウムイオン電池および同電池を搭載した製品(以下、リチウムイオン電池等)から出火した火災の調査結果を公表しました。全国の消防機関から報告のあった事案を集計したもので、調査対象期間は令和4年1月1日から令和7年6月30日です。調査結果によると、リチウムイオン電池等に起因する火災件数は年々右肩上がりで増加しており、特にモバイルバッテリーからの出火や、廃棄・回収過程での火災が多発している現状が浮き彫りとなりました。
【火災件数の推移】 リチウムイオン電池等から出火した火災件数(ごみ収集車等での火災を除く)は、一貫して増加傾向にあります。令和4年(1~12月)は601件でしたが、令和5年には739件、令和6年には982件となり、2年間で約1.6倍に増加しました。さらに、最新のデータである令和7年上半期(1~6月)だけですでに550件発生しており、前年を上回るペースで推移しています。

【製品別の傾向と出火原因】 製品別に見ると、モバイルバッテリーからの出火が最も多く報告されています。令和6年のデータでは、全982件のうち、モバイルバッテリーが290件を占め、次いで電動工具(54件)、コードレス掃除機(89件)、携帯電話機(50件)などが続いています。
また、製品によって出火原因に特徴があることが明らかになりました。
- モバイルバッテリー: 「外部衝撃」や「高温下での使用」が出火原因の上位となっています。持ち運び時の落下や、高温になる環境での放置などがリスク要因と考えられます。
- 電動工具: 「非純正バッテリーの使用」による出火が多く見られます。メーカー純正ではない安価な互換バッテリー等の使用が事故につながっている可能性があります。
- 携帯電話機(スマートフォン等): 「外部衝撃」のほか、ごみ処理過程以外での「分解」行為が出火原因として多く挙げられています。
- コードレス掃除機: モバイルバッテリーや電動工具と同様に主要な出火源となっており、注意が必要です。

【廃棄・回収過程での火災】 家庭等で使用された製品からの出火に加え、廃棄されたリチウムイオン電池等が原因となる火災も増加しています。ごみ収集車(塵芥車)およびごみ処理関連施設において発生した火災件数は以下の通りです。
- 令和4年:161件(施設79件、収集車82件)
- 令和5年:171件(施設71件、収集車100件)
- 令和6年:180件(施設96件、収集車84件)
- 令和7年(上半期):115件(施設56件、収集車59件)
これらの火災は、リチウムイオン電池等が可燃ごみ等に混入して排出され、収集車や処理施設内で圧縮・破砕された際に発火することが主な要因と考えられます。令和7年上半期のペースは過去最高水準となっており、適切な分別排出の徹底が急務です。

【まとめと対策】 今回の調査結果を受け、消防庁はリチウムイオン電池等による火災が急増しているとの認識を示しました。火災を防ぐためには、安全基準を満たした製品の購入、使用時における外部衝撃や高温環境の回避といった適切な取り扱いが重要です。また、廃棄する際には自治体のルールに従い、リチウムイオン電池等を一般ごみに混ぜずに適切に分別することが求められています。



