「すべてのブランドにモバイルサービスを」:ミークモバイル、開発不要・最短3ヶ月で導入可能なMVNaaSを発表

ミークモバイル、「MVNO as a Service」提供開始—非通信事業者のモバイル参入を支援

2025年10月30日、ミークの連結子会社であるミークモバイルは、非通信事業者が自社ブランドでモバイルサービスを手軽に展開できる新規事業「MVNO as a Service」(MVNaaS)の提供を開始することを発表しました。

この新サービスは、通信事業に関する専門的な知見や大規模なシステム開発を必要とせず、非通信事業者が既存の顧客基盤を活用した新たな価値提供と収益機会を創出することを可能にします。

■ 事業開始の背景と市場の動向

ミーク 代表取締役 執行役員社長 峯村竜太氏

親会社であるミークは、2019年3月にソニーグループで設立され、IoT/DXプラットフォームサービスとMVNE(仮想移動体サービス提供者)サービスの二つの主要事業を展開しています。ミークは、MVNEとして10年以上の実績を持ち、現在80万回線以上のサービス提供を行っています。

近年、小売、エンターテインメント、インフラといった非通信事業者によるモバイルサービスの提供が増加しています。これらの事業者がモバイルサービスを導入する主な目的は、モバイルサービス自体での収益獲得に加えて、自社のメインサービスと連携したポイント還元や特典提供を通じて、顧客エンゲージメントの向上やロイヤリティを高めることにあります。

ミークの顧客企業の属性を見ると、MVNO事業開始まで通信事業者ではなかった非通信事業者の割合は、2020年3月期の8.3%から2025年3月期には38.1%へと増加しており、市場のニーズが変化していることが示されています。

しかし、非通信事業者がモバイルサービスを立ち上げる際には、通信インフラの構築、顧客管理・課金システムの開発、法規制への対応、専門人材の確保など、多岐にわたる高い参入障壁に直面しています。

■ MVNO as a Service(MVNaaS)の概要

ミークモバイルが提供するMVNaaSは、これらの課題を包括的に解決します。従来のMVNEサービス(Self-Operated MVNO)では、MVNO側がブランドや営業に加え、課金システムや免許の届け出、顧客管理、CSといった業務を自力で乗り越える必要がありました。

一方、MVNaaSでは、通信の専門性が高い業務をミークモバイルがワンストップで提供します。これにより、非通信事業者はサービス名称や料金プランを選択するだけでモバイルサービスを開始でき、ブランディングやマーケティングといった顧客価値を最大化する活動に専念できます。

サービス導入における変化点

項目Self-Operated MVNOMVNO as a Service
開発期間6ヶ月~3ヶ月~
モバイルシステム開発費2,000~3,000万円程度不要
モバイルサービス運営体制10名~不要
サービスの柔軟性オーダーメイドパッケージ
収益性モバイル通信利用料(高)販売手数料(低)

MVNaaSでは、初期構築費用の中でも高額なモバイルシステム開発が不要となり、大幅なコスト軽減とサービス立ち上げの迅速化を実現します。

■ ミークモバイルの提供価値と料金プラン

ミークモバイル 代表取締役社長 小林敏範氏

ミークモバイルは以下の3点を主要な提供価値としています。

  1. 実績のあるネットワーク運営能力: ミークが10年以上のMVNE実績と80万回線以上の運営実績に基づき、ネットワーク運営を行うため、安心してサービスを利用できる。
  2. 3キャリア対応のネットワーク: 3キャリア(NTTドコモ、ソフトバンク、KDDI)に対応しており、ユーザーは今利用している通信キャリアのネットワークと同じ環境で利用できる。これにより、「今のモバイル通信と変わらないサービス利用体験」を提供可能としている。
  3. 納得の料金プラン: プラットフォーム型のサービス提供によりコスト効率が向上し、適正価格帯でのサービス提供を実現する。料金プランはスタート時点でコッププラン(大中小の3カテゴリー、全5種類)が用意されており、小容量プラン(4GB)は月額980円(税込)となっている。

ミークモバイルは、非通信事業者(A社)と契約し、「A社モバイル Powered by Meeq Mobile」のような形でサービスを提供する。顧客からの料金回収はミークモバイルが行い、その売上の一部を手数料として非通信事業者に支払う。非通信事業者はこの手数料を、ポイントやクーポンといった特典に活用し、メイン事業への誘導を図る。

また、月内で使いきれなかったデータ容量(残GB)を非通信事業者へ連携させ、それを特典に変換する仕組みも実現可能である。

■ 想定される活用事例

想定される顧客として、小売業、ファンクラブ、インフラ関連、旅行業界などの事業者が挙げられています。

例えば、小売業では、残容量(GB)を店舗で使えるポイントにしたり、契約者限定クーポンを発行したりすることで、来店頻度や購買単価の向上を目指す。ファンクラブ運営では、月額サービスを通じて継続的にポイントを付与し、そのポイントでグッズ購入などの活動を促すことで、ファンとの接点創出や熱量向上に貢献する。

ミークモバイルは、サービスを通じて「すべての“ブランド”にモバイルサービスを」という目標を掲げ、非通信事業者のブランド戦略を推進し、消費者にとっての選択肢を豊かにすることを目指します。

サービスはすでに完成しており、顧客との契約ができ次第開始される予定です。ミークモバイルは、数万規模以上の会員基盤を持つ企業がこのサービスの主要な検討対象となると見込んでいるとしています。

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