中国のテクノロジー大手Xiaomi(シャオミ)は、日本市場においてスマートデバイスを含む幅広い製品群のエコシステム浸透を目指し、実店舗戦略を加速しています。小米技術日本 副社長の鄭彦氏に、日本戦略の現状と今後の展望について伺いました。

Q: まず、実店舗を展開されてから、オンラインでの売上と製品構成に何か変化はありましたか?
鄭氏: 製品の差は目立つほど大きな差はありません。ウェブ、店舗ともにテレビが非常に良く売れています。実店舗の売上構成は、スマートフォンとその他(スマートデバイス)がおよそ半々です。
ただ、一部の商品には違いが見られます。例えば、監視カメラのような商品は、Webでは売れにくい傾向にありますが、店舗ではWebと比較して売上の割合が若干高くなります。これは、Webではスペックを見ても違いが伝わりにくかったり、実物や色味、デザインを確認したい顧客がいるためだと分析しています。

価格帯の傾向に関しても、実店舗とオンラインで特に大きな違いはありません。競争力を持つ製品は、どちらのチャネルにおいても競争力を維持しています。スマートフォンでは、Web、店舗のどちらでもRedmiよりもPOCOやUltraといった機種が売れている状況です。
Q: 日本のショップの傾向は、中国本土やグローバルと比較して異なりますか?
鄭氏: 中国本土のショップと比較すると、中国ではスマートデバイスが全体の売上に占める割合が高い傾向があります。これは、日本の販売傾向が異なるというよりも、日本市場に導入されている商品数(SKU)が圧倒的に少ないことが背景にあります。
中国では800 SKUから1000 SKU弱の商品を展開していますが、日本はまだ300 SKUに満たない水準で、商品数は中国の約3分の1程度です。その結果、中国におけるスマートフォン対スマートデバイスの売上比率が約35%対65%であるのに対し、日本市場では現状、半々という構成になっています。グローバル全体で見ると、中国ほど大きな差は見られません。
Q: 日本ではまだ白物家電を含むスマート家電の浸透が途上にあるかと思いますが、この分野を広げるための戦略はどうお考えでしょうか?
鄭氏: まだ浸透は途上ですが、この浸透を加速させる上で、実店舗の展開を非常に重要なポイントの一つとして位置づけています。

実店舗は、近隣の顧客がショッピングモールなどの商業施設に入り、当社のストアに関心を持って入店する機会を提供します。店舗では、中国製品に抵抗感がない層や、特定のメーカーにこだわらない層が、商品を実際に見て試すことで購買に至るケースが増えています。
店舗の売上推移を見ると、オープン当初の特需の後、通常のペースに戻り、3月から9月にかけては徐々に売上が上昇しています。近隣住民の認知度も向上しており、以前は「これは何のお店か」と尋ねる顧客が多かったのに対し、最近では新商品への関心を示す声が増えるなど、地域社会に馴染んできている状況が確認されています。実店舗は、スマートフォンやタブレットだけでなく、スマート家電/IoT製品のタッチポイントとして機能し、これまでアプローチが難しかったファミリー層や、ガジェット好き以外の一般顧客層にもリーチすることを可能にしています。
Q: 商業施設側、特にイオンとの連携についてはいかがでしょうか?また、今後の出店計画を教えてください。
鄭氏: 商業施設側からの評価は非常に高いです。今年度の追加出店3店舗のうち2店舗はイオンの施設内で展開されており、イオン側は当社のストアを高く評価し、施設活性化への期待を寄せています。現在、イオンの通路の上にロゴを掲示しているのは、ユニクロ、GU、そして当社の3ブランドのみであり、強い連携関係を示しています。

出店計画については、関東圏に加え、来年は京阪神地域への進出が予定されており、将来的には全国展開も視野に入れています。しかし、全国展開にはサービス体制、物流、そして店舗マネジメントの体制強化を並行して進める必要があります。


地方へのブランド認知拡大のため、今後は東京や首都圏だけでなく、関西や福岡など地方都市でのイベント展開も検討しています。地方都市からの来店客も確認されており、地方市場への関心も高い状況です。
Q: 非常に多岐にわたる製品を展開していますが、これらの開発と品質は本社でどのように管理されていますか?
鄭氏: ほとんどの商品はパートナー企業(ODM)によって製造されています。本社にはプロダクトチームがあり、パートナー企業との連携を通じて製品開発を管理しています。
製品開発のガイドラインとして、統一されたシンプルなデザインが重視されています。また、すべての製品が接続されるよう、ソフトウェアも「Xiaomi Home」に接続するための仕様を決めています。
現地販売側が最も重要視しているのは、デザイン、品質、および商品性(競争力)がブランドイメージを傷つけず、ブランドにふさわしい水準にあることです。生産品質についても、当社の基準が守られるよう管理されています。
Q: 現在、日本で展示されているEV(電気自動車)について、日本市場への導入はいつ頃になるでしょうか?
鄭氏: EVを日本にいつ導入できるかについては、現時点では全く計画が立てられない状況です。すぐに日本に持ってくることはできません。
今回のXiaomi EXPOでSU7 Ultraを展示した第一の目的は、「Xiaomiはスマートフォンだけではない」というメッセージを伝えることです。当社は「Human x Car x Home」というエコシステムに基づいたライフスタイルブランドの構築を目指しており、その世界観を顧客に認識してもらうことを重視しています。

第二の目的は、EVのデザインや高い性能(100km加速1.9秒、ニュルブルクリンクでの好成績)を通じて、当社が高い技術力を持つテクノロジー企業であることをアピールし、製品への信頼性を高めることです。
グローバルで「Human x Car x Home」の世界観を実現したい意向はありますが、各国向けの安全基準や衝突基準への対応が必要であり、導入には時間がかかる見込みです。


