ADOBE AI メディア説明会
アドビは、直近数ヶ月間に発表された生成AI関連の機能や今後の展望を解説する「ADOBE AI メディア説明会」を開催しました。
同社は企業ミッションを「Empowering everyone to create(すべての人の『創る』をエンパワーする)」と再定義し、利用者の目的に応じて事業分類を「ビジネスプロフェッショナル&コンシューマー」「クリエイター&クリエイティブプロフェッショナル」「マーケティングプロフェッショナル」の3分野に再編。全製品を横断的な基盤である「Adobe AI Platform」で支える方針を示しています。

■クリエイター向け:他社AIモデルとの連携と多様な編集機能
クリエイター向け分野では、生成AI「Adobe Firefly」を中心に3つのモデル戦略について説明しました。
1つ目は商用利用の安全性を担保したアドビ独自の「Adobeモデル」。2つ目は業界の他社AIを利用できる「パートナーモデル」で、GoogleのGeminiなどのモデルをアドビ製品内から直接呼び出せます。

3つ目はユーザーが独自データを追加学習させる「ユーザーモデル(Fireflyカスタムモデル)」であり、企業ブランドのトーンを保ったコンテンツの生成を可能にします。

具体的なアップデートとして、3月にリリースされた「Image Model 5」では、画像の生成だけでなく、テキストの指示による編集が可能に。被写体を自然な笑顔にする、昼の風景を夜にする、画像内の文字を別の文字に差し替えるといった操作が行えます。また、動画エディターには「クイックカット」機能が追加され、長時間の動画から特定のトピックをテキスト指示だけでダイジェスト動画として切り出せるようになりました。


PhotoshopやIllustratorにおいても新機能が追加されています。Photoshopでは、平面の画像を360度回転させた視点で生成できる「オブジェクト回転」機能が発表されました。Illustratorでは、1枚のイラストから多方向のバリエーションを生成する「ターンテーブル」機能が紹介されています。さらにPhotoshopのモバイル版では、AIアシスタントに対して音声での指示入力が可能となっています。


■ビジネス層向け:Acrobat AIによるプレゼン資料の自動生成
ビジネス向けのPDFツール「Acrobat」では、文書読解に特化したAIアシスタントの活用例を紹介。企業での利用を想定し、セキュリティを重視してアップロードした情報をAIの学習に使用しない設計となっています。

新たな機能として、複数のPDF資料の内容を読み込み、数回のクリックでプレゼンテーションスライドを自動生成する機能の日本語版が近日中に提供されます。従来、資料の読解、構成の検討、スライドレイアウトの作成に合計3時間程度かかっていた作業を短縮できるとしています。生成されたスライドは、デザインツールのAdobe Express上で直接編集することが可能です。

■マーケター向け:LLM時代の最適化ツールとAIエージェント
マーケティング部門向けには、消費者の検索行動が従来の検索エンジンから対話型AI(LLM)へ移行している現状に対応するツールが発表されました。同社の調査では、LLM経由のウェブサイト流入のコンバージョン率が、従来のオーガニック検索を上回る逆転現象が起きているといいます。

これに対応する「Adobe LLM Optimizer」は、ChatGPTなどの生成AIエンジン上において自社ブランドがどのように言及されているかを可視化し、コンテンツや技術的な改善案を提示する機能を提供します。
さらに、データ分析からキャンペーンの企画、対象者の抽出、メール配信のカスタマージャーニー構築、コンテンツ作成までの一連のプロセスを、対話型のAIアシスタントに指示するだけで実行・連携できるソリューションも実演されました。複数の専門担当者が必要だった業務をAIエージェントが補助することで、マーケティング施策の迅速な展開を支援します。

アドビは画像やテキストの生成に留まらず、各業務プロセスにAIを組み込むことで、個人およびチーム全体の生産性向上を支援する姿勢を示しています。

