英Arm、自社開発のAIデータセンター向け商用シリコン「Arm AGI CPU」を発表——エージェントAI時代のインフラ構築を推進

英Armは2026年3月24日、次世代のAIインフラストラクチャ向けに設計された商用シリコン製品「Arm AGI CPU」を発表した。同社は過去35年以上にわたりIP(知的財産)およびコンピュート・サブシステム(CSS)の提供を主力事業としてきたが、自社製シリコン製品を直接提供するのは今回が初の試みとなる。本製品の受注はすでに開始されている。

本製品は、ソフトウェアエージェントが自律的にタスクを調整し、リアルタイムで意思決定を行う「エージェントAI」の急速な普及に対応するために開発された。AIシステムが地球規模で継続的に稼働する中、データセンターにおいては、多数のアクセラレータのオーケストレーション、メモリやストレージの管理、ワークロードのスケジューリングを担うCPUの役割がより重要になっている。Arm AGI CPUは、これらの高度な自律型ワークロードにおいて、データセンターの電力と冷却の制限内で数千のコアを並列稼働させ、高いパフォーマンスを持続できるように設計されている。

ハードウェアの仕様として、Arm AGI CPUは同社のArm Neoverseプラットフォームを基盤としている。標準的なリファレンスサーバー構成(1OU、2ノード設計)では、専用メモリとI/Oを備えた2つのチップを搭載し、1ブレードあたり272コアを確保する。これを一般的な空冷36kWラックにフル実装(30ブレード)した場合、合計8160コアが稼働する。さらに、Supermicro社と共同開発した液冷200kW設計のラックでは、336基のCPUを搭載し、4万5000以上のコアを収容可能である。

性能面について同社は、優れたメモリ帯域幅によって高負荷時におけるコア間の競合による性能低下を防ぐため、最新のx86ベースのシステムと比較してラックあたり2倍以上のパフォーマンスを発揮するとしている。

本製品の展開において、主要パートナーおよび主要顧客としてMetaが参画している。Metaは自社のインフラストラクチャおよびカスタムアクセラレータ「MTIA」との最適化を目指し、Armと共同でArm AGI CPUの開発に取り組んだ。また、初期のローンチパートナーとして、Cerebras、Cloudflare、F5、OpenAI、Positron、Rebellions、SAP、SK Telecomなどが名を連ねている。商用システムは、ASRockRack、Lenovo、Supermicroの各社からすでに注文が可能となっている。

Armの今回の発表に対し、世界のテクノロジー業界のリーダーからも多くの反応が寄せられている。NVIDIA、AWS、Microsoft、Google、Oracle、Samsung Semiconductorなどの主要企業は、Armが提供するアーキテクチャの柔軟性やエコシステムの拡大を歓迎し、次世代のAIインフラストラクチャにおけるデータセンター向けCPUの重要性を強調している。

さらにArmは、エコシステム全体でのハードウェア導入を加速させるため、「Arm AGI CPU 1OU Dual Node Reference Server」をOpen Compute Project(OCP)のDC-MHS標準フォームファクタとして提供する計画を明らかにした。このリファレンスサーバー設計やファームウェア、システムアーキテクチャの仕様などをOCPに提供する予定である。

Arm AGI CPUは、同社の新たなデータセンター向けシリコン製品群の第一弾と位置づけられており、今後も性能と電力効率を追求した後継製品の投入が確約されている。同社は従来のNeoverse CSS製品のロードマップと並行して新製品を展開し、顧客に最適なプラットフォーム構築のための多様な選択肢を提供する方針である。

Arm expands compute platform to silicon products in historic company first

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