最先端テクノロジーの祭典「SHIBUYA Tech FESTIVAL」が開催――IT専門家らが次世代デバイスとAIの展望を語る

最先端テクノロジーの祭典「SHIBUYA Tech FESTIVAL」が開催

2026年3月21日および22日の2日間、東京・渋谷の「SHIBUYA SAKURA STAGE」にて、最先端のテクノロジーとガジェットを体験できるイベント「SHIBUYA Tech FESTIVAL(通称:シブテク)」が開催された。本イベントは入場無料で、テック業界の著名人やYouTuberによるトークショーおよび公開収録が実施されたほか、クラウドファンディングサービス「GREEN FUNDING」などと連携し、未発売の最新ガジェットに直接触れて支援・購入ができるポップアップ企画も展開された。

同イベントの2日目となる22日には、ガジェタッチの新企画として2026年にスタートしたトーク番組「OpenMic Insight」の特別版(INNOMO協賛)の公開収録が行われた。MCのリンクマン氏の進行のもと、スマートフォン・ITジャーナリストの石川温氏、フリージャーナリストの西田宗千佳氏、フリーライターの山本敦氏が登壇し、Appleの新製品や今後のデバイス、通信インフラの進化について議論が交わされた。

新型Mac「ネオ」の評価とAppleの製品戦略

議論の焦点の一つとなったのは、10万円を下回る(米国では599ドル)価格設定で発表されたAppleの新型Mac「ネオ(Neo)」。登壇した3氏はいずれも同製品を購入しており、その実用性の高さを評価した。

石川氏は、Apple純正アプリを中心とする「ミニマリスト運用」を想定し、256GBモデルを選択したとのこと。西田氏は、40万円相当の高価なメインマシンを常に持ち歩くことによる故障や紛失のリスクを指摘し、世界中で入手しやすい安価な端末を持ち歩き用マシンとして活用することが有効なリスクヘッジになると説明した。

山本氏も、海外取材時の荷物検査における負担軽減や最新チップ搭載を購入理由に挙げた。 また、8GBというメモリ容量について西田氏は、一般的なウェブブラウザの利用や文書作成であれば問題ないとする一方、将来的にローカル環境で大規模言語モデル(LLM)などのAIを処理する場合には大容量メモリを搭載した「Pro」モデルが必要になるとし、用途に応じた明確な棲み分けができていると分析した。

石川氏

Windows PCの競争環境と課題

Apple製品の価格競争力が高まる中、競合するWindows PCの現状についても見解が示された。西田氏は、現在のWindowsは8GBのメモリでは快適に動作しづらく、10万円以下の価格帯の製品は完成度の面で割り切りが見られると厳しい現状を指摘。さらに、価格を下げるための障壁として、OSのライセンス料金に加え、日本市場特有の「オフィスソフト」が標準搭載されている商習慣を挙げた。

今後、オフィスソフト非搭載の安価なモデルが市場に受け入れられるか、あるいはMicrosoftによるOSの軽量化が進むかが競争力を左右すると分析。石川氏も、ハードウェアからチップまで自社設計するAppleに対抗するのは容易ではないとしつつ、Googleが推進するAndroidとChrome OSの統合(アルミニウムOS)が新たな対抗馬になる可能性を示唆した。

西田氏

AppleのAI戦略への評価と課題

AppleのAI戦略についても議論が行われた。西田氏は、「現状、AI機能によってスマートフォンが売れているメーカーはどこにもない」という認識を示した上で、iPhone、Mac、iPadの各デバイス間で「Apple Intelligence」の体験が統一されていない現状を課題として挙げ、早期の改善を求めた。

石川氏は、OSレベルでAIとの統合を進めるGoogleやSamsungとの開発競争に触れつつ、チップ製造から巨大なエコシステムまでを内包するAppleの垂直統合モデルが現在の価格維持に寄与していると評価。同時に、音声認識や翻訳機能における日本語対応のさらなる強化を要望した。

山本氏は、AI機能のすべてを自社で抱え込むのではなく、サードパーティのソフトウェアとうまく連携させる方向へ割り切るのも一つの手段であると指摘した。

山本氏

今後10年のデバイス進化と折りたたみ端末の可能性

「今後10年間、スマートフォンに代わる次世代デバイスは登場するか」という会場からの質問に対し、登壇者らは「スマートフォンが引き続き中心的な役割を担う」と予測。西田氏は、スマートグラスが普及したとしても、それはスマートフォンの利用頻度を下げる補助的なデバイスにとどまり、通信と演算処理の核となるのは依然としてスマートフォンであると断言した。

山本氏も、イヤホンやヘッドホンが人間の五感を拡張するパートナーデバイスとして進化していくとの見解を示した。 端末の形状について山本氏は、コンテンツのリッチ化に伴い大画面が求められる一方で、本体の薄型化に期待を寄せた。

折りたたみ端末の展望について石川氏は、客室乗務員の業務用途などを例に挙げ、スマートフォンよりもタブレット(iPad)の折りたたみ化に実用的な需要があると分析。パソコンとタブレットの境界線について西田氏は、融合の可能性に触れつつも、利用シーンやUIに応じた使い勝手の違いから、現状のようにデバイスが分かれている方が効率的であると指摘した。

リンクマン氏

6G通信の展望とコンテンツ視聴の変化

最後に、次世代通信規格「6G」とコンテンツ視聴の未来について議論が交わされた。石川氏は、6Gは「AIのためのネットワーク」と位置づけられ、端末側ではなくクラウド上でAI処理を行うための大容量かつ低遅延の通信インフラが不可欠になると述べた。

西田氏は、イベント会場などの混雑時でも通信が滞らない安定したネットワークの構築が、スマートグラスなどの活用において重要であると強調。 通信環境の向上による変化として、山本氏は大容量コンテンツを移動中にストリーミング視聴できる現状を評価した。

関連して、動画配信サービスでのWBC中継において「高齢者が視聴できない」と批判が起きた件について、西田氏は「高齢者もスマホで動画を視聴しており、テレビへの接続方法をサポートする仕組みが業界全体として欠けていたことが本質的な問題だ」と指摘した。

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