
KDDI子会社で発覚した2460億円の架空取引:その驚きの手口と背景
KDDIの連結子会社であるビッグローブとその子会社Gプランにおいて、長年にわたる巨額の架空取引が行われていたことが明らかになりました。その規模は、取り消すべき売上高が累計で約2,460億円という極めて異例の事態です 。なぜ、これほどまでの巨額な不正が見逃され、そしてどのようにして発覚したのでしょうか。経済的な視点からその仕組みを解説します。
「ぐるぐる回る」資金と雪だるま式の売上
今回の不正の核心は、「循環取引(じゅんかんとりひき)」と呼ばれる手口です。
通常、広告ビジネスは「広告を出したい企業」から依頼を受け、中間に立つ代理店が手数料を得て、実際のWebサイトなどに広告を掲載します 。しかし、今回のケースでは「実在しない広告主」を起点に、書類上だけで取引が作られていました 。
具体的には、子会社が上流の代理店から仕事を受け、それを下流の代理店へ再委託するという形をとっていましたが、調査の結果、この「上流」と「下流」の業者が実質的に同一であることが判明しました 。
- 子会社が「広告掲載の仲介」として書類を作成する。
- 資金と伝票が業者間を一周して戻ってくる。
- 一周するたびに、子会社には「売上」が計上される。
このサイクルが繰り返されるたびに取引額は膨らみ、直近では月間数百億円規模にまで達していました 。松田社長が「還流するたびに雪だるま式に増えていった」と表現した通り、数字上の売上を作るための「ぐるぐる回し」が止まらなくなっていたのです 。
なぜ発覚したのか:KDDIの「管理強化」が引き金
この不正が露呈したきっかけは、意外にも親会社であるKDDIによる「リスク管理の指示」でした。
2025年12月中旬、KDDIは取引額の急増を懸念し、管理強化の観点から子会社に対し「下流の業者への発注を抑えるように」と命じました 。この指示によって子会社からの支払いが止まった途端、資金の循環が断ち切られました。その結果、本来入ってくるはずの上流業者からの入金も途絶え、不正が明るみに出たのです 。
今後の影響と課題
今回の事案により、KDDIは過去の利益を含め約500億円の営業利益を取り消す見込みです 。また、取引の過程で外部の業者に「手数料」として流出した約330億円についても、回収に向けた対応を迫られています 。
この事件は、特定の社員(現時点で判明しているのは2名)によって主導されていたとされていますが、これほどの巨額取引が複数年にわたりチェックをすり抜けたガバナンスの脆弱性は否定できません 。KDDIは現在、外部の専門家による特別調査委員会を設置し、3月末を目途に全容を解明する方針です 。

