
NTTドコモグループ 2025年度第3四半期決算:増収減益、通期予想を下方修正
株式会社NTTドコモは2026年2月5日、2025年度第3四半期(2025年4月~12月)の連結決算を発表しました。営業収益は前年同期比2.0%増の4兆6,597億円と増収を確保した一方、営業利益は同10.6%減の7,454億円、当期利益は同9.6%減の5,288億円となり、増収減益の結果となりました。

今回の決算における最大のポイントは、スマートライフ事業や法人事業の成長により全体の収益規模は拡大しているものの、競争激化に伴う販売促進費の増加や、通信品質向上のための設備投資が利益を圧迫している点にあります。これを受け、同社は通期の業績予想(営業利益)を前回発表の9,660億円から8,830億円へと830億円下方修正しました。
セグメント別の動向:通信の苦戦と新領域の成長
セグメント別の業績を見ると、主力の「コンシューマ通信」事業は減収減益となりました。営業収益は2兆4,292億円(前年同期比3.4%減)、営業利益は2,902億円(同30.7%減)です。減収の主な要因は、端末機器収入の減少やモバイル通信サービス収入の減少ですが、モバイル通信サービス収入の減少幅自体は縮小傾向にあります。
一方で、成長領域と位置付ける「スマートライフ」事業と「法人」事業は好調です。 スマートライフ事業は、営業収益が1兆119億円(前年同期比11.9%増)、営業利益が2,166億円(同9.5%増)と伸長しました。これは住信SBIネット銀行の連結影響に加え、dカードやd払いといった金融・決済サービスの利用拡大が寄与しています。 法人事業も、営業収益が1兆4,260億円(同6.5%増)、営業利益が2,385億円(同9.8%増)と増収増益を達成しました。大企業向けのデジタル変革(DX)やセキュリティビジネス、コンタクトセンターへのAI導入などのソリューション案件が拡大しています。
顧客基盤の強化と通信品質への集中投資
減益の背景には、将来の成長に向けた先行投資としての側面があります。 ドコモは顧客基盤の強化を最優先課題としており、MNP(番号持ち運び制度)による転入超過数は4カ月連続でプラス化しました。大容量プラン「ドコモMAX」の契約数は250万件を突破しており、これに伴いARPU(1契約あたりの月間平均収入)も前年同期比でプラス基調が定着しています。こうした顧客獲得競争に対抗するため、販売促進費が増加しました。
また、課題となっていた通信品質(ネットワーク)の改善に向けた「強靭化」も加速させています。第3四半期の設備投資額は5,658億円となり、前年同期比で30.6%増加しました。特に主要都市部や地下鉄など利用者の多いエリアにおいて、5G基地局の構築ペースを前年度下期の3倍に引き上げており、通信速度とつながりやすさの改善を急ピッチで進めています。
通期見通しと今後の展望
通期の営業利益予想については、MNP競争の激化・長期化に伴う販促費用の増加(マイナス1,130億円影響)や、端末購入プログラムの収支悪化(マイナス300億円影響)を織り込み、830億円の下方修正を行いました。
ドコモは、当面の利益確保よりも、強固な顧客基盤の構築とネットワーク品質の回復を優先する姿勢を鮮明にしています。スマートライフ・法人事業のオーガニックな成長を維持しつつ、通信事業の収益性をどこまで回復させられるかが、次年度以降の再成長に向けた鍵となります。


