MediaTek、世界で初めてスマートフォンに衛星データ重視型の5G NTN通信機能を搭載

2022年8月16日、MediaTek(本社:台湾・新竹市、以下 MediaTek)は、ラボ環境で5G非地上系ネットワーク(NTN)接続機能をスマートフォンに初めて搭載し、5Gにおける新たなマイルストーンを達成しました。MediaTekは、ドイツに本社を置くエレクトロニクス企業であるRohde & Schwarzとの協業によってエミュレートした低地球軌道(LEO)衛星チャネルを介して、ITRIの次世代NodeBネットワーク(gNB)テスト環境へのデータ転送を成功させました。この世界初のデモにより、商用5Gスマートフォンハードウェアが衛星通信をサポートできることが実証されました。

この成果は、Rohde & Schwarzのテスト機を使用して、MediaTekのラボで達成されました。このテスト環境は、各衛星が時速約27,000kmの超高速で軌道上を飛行する高度600kmのLEO衛星コンステレーションをリアルにエミュレートしています。スマートフォンには、MediaTekのNR NTN対応テストチップが搭載され、ITRIによるテスト用gNBに接続されました。このテストチップは、3GPPリリース17のスペクトラム定義機能に適合するように設計されており、LEO衛星チャネルによるドップラー効果やタイミング変動の影響をシミュレートしています。

MediaTekのワイヤレス通信システム兼パートナーシップ担当ジェネラルマネージャーであるHC Hwangは次のように述べています。「このマイルストーンは、MediaTekの5Gに対する研究開発イノベーションにおける長年の実績の上に築かれました。今回のテストにより、MediaTekは、5Gスマートフォンを衛星ネットワークに接続する検証に成功し、世界中にユビキタス接続をもたらす5G衛星ネットワーク開発への扉を開きました。」

MediaTekのデモでは、標準的なスマートフォンと同じフォームファクターと設計部品を採用して、5G NTN技術を衛星通信に使用する方法が披露されています。5G NTN技術は、既存の地上ネットワークとセルラーセクターにおけるスケールメリットを活用することで、世界中でサービスの信頼性を向上させます。サービスが及ばない地域や十分でない地域でも、高速で信頼性の高い5G接続が利用しやすくなります。5Gアクセスの拡大に伴う消費者向けのユースケースに加え、重要な通信、輸送、農業、車両や重機の管理、IoTデバイスなどの企業向けのユースケースも数多く存在します。

Rohde & Schwarzの信号発生器製品部門バイスプレジデントのGerald Tietscher氏は次のように述べています。「ユビキタス接続は社会における重要な目標であり、当社は最新の実現技術を市場に投入する際に役立つ、テストおよび測定ソリューションの提供に取り組んでいます。」

ITRI情報通信研究所長であるPang-An Ting博士は次のように述べています。「このラボ実験により、ITRIのgNB(CU、DU、およびRU)技術がNR NTN通信システムに完全に統合できることが証明されました。最前線に立つ開発者として、地上ネットワークを統合しながら、より広いカバレッジとシームレスな接続サービスに対応する3GPP NTN通信の将来性を確信しています。」

MediaTekは、NTN上の3GPPリリース17の標準化作業に積極的に貢献しており、そのことによって5G NTNスマートフォンでは従来のかさばるアンテナが不要になる可能性があります。さらに、高度な5G物理層設計を活用して、時間/周波数領域における深刻な信号フェージングを克服することが可能です。また、同一のプロトコルスタックを共有することで、NTNソリューションは、1台のデバイスでセルラーネットワークと衛星ネットワークの切り替えを簡単に行うことができます。

タイトルとURLをコピーしました