株式会社PFUは2026年7月14日、ドキュメントスキャナー「ScanSnap」の新サービス発表会を開催し、クラウドサービス「ScanSnap Cloud+」と同製品のモバイルアプリ向け新機能「ScanSnap Camera」を同日より提供開始すると発表した。ScanSnapシリーズが今年で誕生25周年を迎え、全世界累計販売台数が約800万台に達する中、PFUは紙の情報を単に「残す」だけでなく、「すぐ使える資産」へと「活かす」方向へ進化させる新たな方針を示した。


今回発表された「ScanSnap Cloud+」は、スキャナーと各種クラウドサービスを連携させる既存の無料サービス「ScanSnap Cloud」を拡張したサブスクリプション型の有料サービスである。利用ページ数に応じたS・M・Lの3プラン(Sプラン月額980円から、税込)が用意されている。本サービスの中核となるのが「ScanSnap AI」による文書情報処理機能である。主な機能として、従来の活字に加えて手書き文字の認識も可能にした「手書き文字対応OCR」、文書全体の文脈をAIが理解し適切なファイル名を自動付与する「AIファイル名生成」、そして文書内の日時や住所、QRコードなどを自動認識して、カレンダー登録やマップ表示、Webサイトへのアクセスがワンクリックで行える「リンク付きPDF」の作成機能を備えている。これにより、スキャン後の検索やファイル整理、業務アクションへの移行にかかる手間が削減される。

同時にリリースされた「ScanSnap Camera」は、「モバイル版ScanSnap Home」アプリに追加される新機能であり、手持ちのスマートフォンをスキャナーとして利用できる。向き補正やカラー自動判別などの基本機能は全ユーザーに無料で提供される。さらに「ScanSnap Cloud+」の契約者は、AIを用いた高度な画像補正機能が利用可能となる。三つ折りの紙の折り目や湾曲を平らにする「フラット補正」や、スマートフォン撮影時に生じやすい影を自動で消去する「影けし」機能により、スキャナー専用機がない環境下でも高品質なデジタル化を実現する。また、よく使う設定を「プロファイル」として複数登録し、用途に合わせて保存先などをワンタッチで切り替えることも可能である。

発表会の後半では、アドビ株式会社 製品マーケティング本部の立川太郎氏による特別セッション「AI時代のPDF活用」が行われた。立川氏は、今後のビジネスにおいて、生成AIに企業独自の情報を参照させる「RAG(検索拡張生成)」の仕組みが重要になると解説した。RAGを機能させるための検索インデックスを構築するには、AIが読み取れる形式でデータが保存されている必要があり、画像データのみのPDFでは不十分であると指摘。紙文書をスキャンする際は必ずOCR処理を行い、テキスト情報を持つ構造化されたPDFを作成することが不可欠であると説明し、手書き文字のOCRやリンク付きPDFを生成するPFUの新機能がAI時代における情報活用に寄与すると強調した。

PFU取締役 常務執行役員の宮内康範氏は、質疑応答にて「ScanSnap Cloud+」の初年度(1年間)の国内売上目標を約1億円と発表した。また、スマートフォンによる無料スキャン機能の提供については、スキャナー本体の販売と競合するものではなく、これまでスキャン習慣のなかった層へ体験の裾野を広げる施策であると説明。将来的には上位プランへの移行やハードウェア購入を促し、シリーズ全体の売上拡大による相乗効果を見込んでいると述べた。PFUは今後も「スキャンのその先へ」をテーマに、ハードウェアとソフトウェアの両面から情報活用の支援を継続していく方針である。







