ソフトバンクとOpenAI、AIを活用したサイバーセキュリティ対策「Patching as a Service」を提供開始

ソフトバンクグループ、ソフトバンク株式会社、およびSB OAI Japan合同会社は16日、OpenAIのAI(人工知能)技術を活用した法人向けのサイバーセキュリティ対策ソリューション「Patching as a Service」の提供を開始すると発表し、同日開催された特別イベントで詳細が説明された。

本サービスは、企業のシステムにおける脆弱性診断から、修復方針の策定、修正パッチの実装提案までを一貫して支援するもので、まずは国内の重要インフラ企業を対象に順次案内が行われる。

イベントの冒頭、ソフトバンクグループの孫正義会長は、AIを悪用したサイバー攻撃の脅威について「黒船の襲来以上の危機」と表現。従来の人力による攻撃から、AIを用いて自動的かつ連続的に攻撃が繰り返される時代になったと指摘し、「最先端AI活用のサイバーアタックが氾濫する中、我々は最先端AIで守り抜きたい」と語り、防御側も最新のAIモデルを装備する必要性を強調した。

ソフトバンク株式会社の宮川潤一社長は、同社を最初の顧客(カスタマーゼロ)として位置づけ、自社管理の約700のシステムで脆弱性診断を試行した結果を公表した。これまで月間5万件の攻撃に耐えていたシステムであっても、AIを用いた深い診断により約1万500件の脆弱性が発見されたという。

宮川社長は、修正パッチを当てた後も再診断で新たな脆弱性が発見される実態を示し、継続的な対策の重要性を説明。同社は日本の重要インフラを防衛する使命感から、対象となる企業に向けて脆弱性診断を無償で提供し、専門技術者の体制拡充を進める方針を明らかにした。

技術デモンストレーションでは、SB OAI JapanのCTOであるコリン・ジャービス氏が、OpenAIのセキュリティ構想「Daybreak」の機能を実演した。デモでは、AIエージェントが自律的にシステムへログインしてSQLインジェクションなどの脆弱性を検証し、既存のガバナンス枠組みの中で人間と協調しながら修正パッチの自動生成やテストを完了させる一連の工程が示された。

イベントの最後には、孫会長とOpenAIのチーフリサーチオフィサーであるマーク・チェン氏による対談が行われた。チェン氏は、AIモデルの知能と計算能力が指数関数的に向上している現状を説明した上で、サイバー分野におけるAIは攻撃と防御の両方に利用可能であると指摘した。孫会長は、高度なAIを用いる攻撃者に対抗するためには、防御側が最も強力なツールを持つべきだと応じ、ソフトバンクとOpenAIの連携を通じて社会インフラを保護していく姿勢を示した。

この記事を書いた人

海外取材の合間に世界を旅しながら記事執筆を続けるノマド系テクニカルライター。雑誌・週刊アスキーの編集記者を経て独立。IT、特に通信業界やスマートフォンなどのモバイル系のテクノロジーを中心に取材・執筆活動を続けています。

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