シャープ、スタンダードスマホ「AQUOS sense10」と超軽量VRグラス「Xrostella VR1」を発表

シャープ、スタンダードスマホ「AQUOS sense10」と超軽量VRグラス「Xrostella VR1」を発表

シャープは、スマートフォン「AQUOS sense10」およびVRグラス「Xrostella VR1(クロステラ ブイアールワン)」の新製品発表会を開催した。同社はカメラ付き携帯電話の誕生から25周年を迎えるにあたり、新たなコーポレートスローガンとして「人の願いの半歩先」を策定した。これは、人に寄り添い、優しく、そして少し驚きのある体験の実現を目指すという同社の姿勢を示している。

AQUOS sense10:性能向上と進化したAI体験

AQUOS senseシリーズの10機種目となる「AQUOS sense10」は、「日常を一つ上の体験へ」を開発コンセプトとするスタンダードモデルである。

本機は、高い処理性能を持つSoC「Snapdragon 7s Gen 3 Mobile Platform」を搭載した。これにより、当社従来機(AQUOS sense9)と比較して、CPU性能が約20%、GPU性能が約40%、AI性能が約30%向上し、さらに消費電力も12%向上した。

ディスプレイには6.1インチのPro IGZO OLEDを採用し、LTPO(低温多結晶酸化物)駆動方式を採用することで、省電力でありながら最大240Hz相当のなめらかな表示を実現している。また、高輝度設計により、全白輝度1,500nit、ピーク輝度2,000nitに対応し、屋外でも画面が見やすくなった。

バッテリーは5,000mAhの大容量を備え、省電力ディスプレイと高効率SoCの組み合わせにより、フル充電から1日10時間利用しても2日間の使用が可能である。重量は約166gのコンパクトボディに大容量バッテリーを両立させている点が、senseシリーズのこだわりとされる。

カメラ機能においては、ハイエンドモデル「AQUOS R10」のチューニングを取り入れた新画質エンジン「ProPix」により、AIがディテールを忠実に再現する。標準カメラは有効画素数約5,030万画素の1/1.55インチイメージセンサーを搭載し、暗所でのノイズリダクションが大幅に向上した。

また、新たなAI機能として、通話品質を向上させる「Vocalist(ボーカリスト)」を搭載。これは、ユーザーの声を事前に登録することで、通話時に周囲の雑音や自分以外の人の声をAIが識別してカットし、自分の声だけを相手にクリアに伝える機能である。これにより、騒がしい環境でも場所を気にせず快適な通話が可能となる。

さらに、カメラAI機能も進化し、写り込んだ影を自動で消去する機能に加え、ガラス越しに撮影する際の反射を軽減する新機能「ショーケースモード」を新たに搭載した。テキスト撮影時には、影除去と同時に台形補正にも対応する。

「AQUOS sense10」は、「カジュアル」「キレイメ」「ベーシック」の3つのファッションスタイルから着想を得た全6色のカラーバリエーションを展開する。プロモーションカラーは、ジーンズの色味をイメージした「デニムネイビー」である。

SIMフリーモデル(SH-M33)は、RAM 6GB/ROM 128GB構成が税込み62,700円、RAM 8GB/ROM 256GB構成が税込み69,300円で、2025年11月13日より順次発売される。OSは最新のAndroid 16を搭載して発売される。

VRグラス「Xrostella VR1」:超軽量設計でVR体験を身近に

シャープは、パーソナルデバイス事業の一環として、時間と場所を超越した新しいコミュニケーションを実現するためのVRグラス「Xrostella VR1」を開発した。

VR市場の課題である「装着時のストレス」を解消するため、本機はスマートフォンの開発で培った小型・軽量化技術を応用し、約198gの超軽量ボディを実現。これにより、長時間装着しても疲れにくく、VR空間に没頭し続けることができる。

デザインは着脱しやすいメガネ型を採用し、高解像度ディスプレイ(片眼2,160×2,160)と薄型パンケーキレンズを搭載。PC接続時には、本体内蔵のカメラを使用したインサイドアウト方式の6DoFトラッキングに対応し、装着者の動きをリアルタイムでVR空間に再現する。また、近視の方でも快適にピントを合わせられるよう、瞳孔間距離と視度(0D~-9.0D)の調整機構を備えている。

「Xrostella VR1」はPCまたはスマートフォンと有線接続して使用するデバイスであり、スマートフォン接続については「AQUOS sense10」との接続を検証している(2025年10月31日現在)。

シャープは、市場でのフィードバックを得るため、クラウドファンディングサービス「GREEN FUNDING」にて、本年11月下旬以降に支援者の募集を開始する。クラウドファンディングでの想定価格の中心帯は、コントローラー付きで15万円前後とされている。

事業戦略と法人向けサービス

シャープは今後、AIソリューション、パーソナルデバイス、次世代データ通信の3つの柱を軸に製品とサービスを提供していく。

また、法人顧客向けに、モバイルデバイス管理(MDM)を始めとした、スマートフォンの導入から運用、アフターサービス、回収までを一貫してサポートするライフサイクルマネージメントサービス「Link with LCM(リンク LCM)」の提供を開始する。これは、法人顧客に対し、業務効率化、セキュリティ、コスト管理の面で大きなメリットを提供する。

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