通信事業者4社、災害時の避難所支援で連携強化 エリア分担と情報共通化を導入

規模災害発生時における速やかな被災地支援に向けて、避難所支援における通信事業者間でのエリア分担などの連携体制を強化

2025年10月22日、NTT、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの通信事業者4社は、大規模災害発生時における被災地支援を迅速化するため、避難所支援に関する連携体制を強化したことを発表しました。具体的には、本日より避難所支援におけるエリア分担の運用を新たに開始し、併せて情報発信の共通化を進めます。

説明会では「大震災発生時における速やかな被災地支援に向けた連携体制を強化する」と説明がありました。

エリア分担の導入背景と仕組み

従来の避難所支援活動においては、各社が独自に迅速かつ自発的な支援活動を開始していたため、支援が特定の避難所に重複したり、逆に支援が遅れる避難所が発生したりするなどの課題がありました。

この課題を受け、4社はより迅速かつ漏れなく広範囲に支援を実施する仕組みとして、エリア分担を導入。このエリア分担は、災害発生後に設置される自治体(被災自治体)の災害対策本部に対し、各社が派遣するリエゾンを通じて、被災状況や各社のリソース状況を踏まえ、どの会社がどのエリアを担当するかを協議し決定します。初期段階では、担当エリアを均等に分け合う考え方が基本となります。

共通的な支援内容と情報発信の改善

4社が共通的に避難所で提供する支援内容は、電話の通信環境、データ通信環境(Wi-Fi等)、充電環境の3点。これらの支援は、契約しているキャリアに関わらず、全ての被災地の利用者が利用可能です。

情報発信についても改善が図られます。これまでは各社が自社ページで支援内容を発信していましたが、今後は避難所支援の取り組みを通信事業者全体で実施するものと位置づけ、各社のホームページから他社の支援状況も含めた一覧表示を行います。

また、支援現場では、利用者が自身のキャリアではないブース利用に躊躇する事例があったことを踏まえ、共通ロゴを新たに作成。このロゴは、4グループのコーポレートカラーを用いて「4つの手を組み、共通の目的(被災地支援)に向けて手を取り合う」様子を表現しており、誰でも利用可能であることを視覚的に伝えるツールとして活用されます。

既存の連携体制と今後の展望

4社は、既に昨年12月より、復旧作業に必要な宿泊施設、機材、資材を置く場所、給油点などの「アセットの共同利用」や、船舶(NTTの「きずな」)を使った「船舶の共同利用」を実施しています。これらの既存の連携についても、定期的な訓練を通じて継続・強化していく方針です。

連携の根底には「競争よりも強調」という考え方があり、災害発生時には、いかに早く被災地への支援や通信環境の復旧を進めるかという「使命」を持って取り組んでいるとのこと。

今後の連携強化の検討課題としては、来年度の運用開始が見込まれる事業者間ローミングへの連携活用や、衛星通信などの新技術を活用した災害対策も含まれます。訓練についても、今後は自治体等の他のプレイヤーとの連携も含めて実施を検討中とのことです。

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