ANAあきんどは2025年10月15日、同社が進める二地域居住促進プロジェクト「ANAの二地域居住 BLUE SKY LIFE(ブルースカイライフ)」の記者発表会を開催。ANAあきんどの代表取締役社長である原雄三氏が登壇し、プロジェクトの背景と具体的な施策について説明を行いました。
二地域居住が体験できるANAポータルサイト「BLUE SKY LIFE」公開



プロジェクトの背景と目的
ANAグループは、全国的な人口減少や地方の活力低下、特に若者の流出による高齢化の加速、そして東京一極集中といった日本の未来が直面する大きな課題に対し、社会貢献をしたいと考えています。全国61の空港に142路線を持つ航空ネットワークというインフラを基盤とし、飛行機を活用して都市部と地方部をつなぐ二地域居住を促進することで、新たな人の流れを生み出し、地域の活性化を目指します。
同社が独自に2万人を対象に実施したアンケート調査によると、回答者の22.8%が二地域居住に興味を持っていることが判明しました。特に20代から40代の男性では25%と関心が高く、趣味の充実や子育て環境を重視する層のニーズが確認されています。

官民連携と法整備の進展
本取り組みは、国や自治体との連携の中で推進されています。2024年10月には「全国二地域居住等促進官民連携プラットフォーム」が設立され、ANAホールディングスが共同代表を務めています。また、2024年11月には「改正広域的地域活性化基盤整備法」が施行され、二地域居住の環境整備や市町村の取り組みも国の支援対象となりました。ANAあきんどは、これらを背景に2025年9月、鳥取県、高知県、佐賀県など全16団体と共同で「ANA二地域居住等推進コンソーシアム」を設立し、国土交通省の先導的プロジェクトとしてモニタープログラムを展開します。

ポータルサイトとモニタープログラム
二地域居住を阻む課題として、地域情報の不足、希望者の潜在的ニーズの把握、地域間移動の経済的負担が挙げられました。これらを解決するため、本日午前9時に情報集約ポータルサイト「ANAの二地域居住 BLUE SKY LIFE」がオープンしました。このサイトでは、航空移動を前提としたライフスタイルやエリア別に情報を得ることができ、申し込みから航空券の手配までワンストップで可能です。
また、モニタープログラムでは、二地域居住を本格的に検討する参加者を対象に、実際に地域に滞在し、地域との関わりを体験・検証してもらう機会を提供します。


対象地域とメニュー
鳥取県(3自治体)、高知県(4自治体)、佐賀県(2自治体)の計9自治体が参加しています。各地域は「仕事」「子育て」「趣味」のライフスタイルに応じた体験メニュー(農業体験、地域イベントへの参画、山村留学など)を用意しています。これらの体験への参加が、航空サポートを受ける条件となります。






航空・滞在サポート
参加者の経済的負担を軽減するため、ANA便の運賃は、ANAが提供する運賃の中で最もお得な「スーパーバリュー75」に相当する価格帯(Value 7の条件で利用可能)で設定されました。例えば、東京(羽田)=高知(片道)は11,000円、東京(羽田)=佐賀(片道)は14,000円などです。加えて、現地ではお試し滞在施設の提供や宿泊費の無料化、送迎無料化などの手厚いサポートが各自治体から提供されます。

応募と期間
モニタープログラムの定員は合計100名で、2026年2月までの搭乗・実施期間が想定されています。参加者は、本気度や参加動機に基づき選定されます。
原社長は、今回のモニタープログラムの成功を足がかりに、来年度には参加自治体数を倍増し、その後も順次拡大していく意向を示しました。プログラムを通じて得られた参加者や自治体の声(経済的負担感、潜在的ニーズなど)を分析し、今後の二地域居住推進に活かしていく方針です。





