【衝撃の食材】ANAビジネスクラスに「ウサギと豚足」? 3度目の挑戦で優勝したシェフの秘策【第11回レシピコンテスト】

ANAケータリングサービスの調理部門を主とする社員たちが腕を競い合う
レシピコンテスト、「第11回レシピコンテスト」の最終選考会が2025年10月8日に開催されました。

このコンテストは2014年にスタートし、今年で第11回目を迎えます。ANAケータリングサービス(ANAC)の西嶋直子社長は、調理・機内食の質の高さを経営の武器であると捉えており、レシピコンテストをその施策の一つとしています。

選考は、まずレシピ募集から始まり、調理部門長の書類選考および工場での試作を経て、洋食部門6名、製菓部門6名の合計12名のファイナリストが選出されました。二次選考では、ANAC社員がGoogleフォームを利用した社内投票を実施し、その点数と最終選考会(試食審査)の採点数を合算して最優秀賞が決定されます。最終選考の採点項目は、料理説明、見栄え、アイデア・オリジナリティ、美味しさ、食材原価の5項目です。

洋食部門のテーマと最優秀賞

洋食部門のテーマは「ビジネスクラス 牛フィレ肉を除くアントレメニュー」でした。これは、従来のファーストクラスのお肉メニューが和牛のヒレ肉で固定されており、自由な発想を活かしにくいと判断されたため、ビジネスクラスとして設定されました。

①牛バラブレゼ 2種仕立て ポレンタと野菜

②鴨のコンフィとクロッカンテ 下仁田ネギのリゾット ポートワインソース

③ポルペッティのジェノバ風 煮込みニョッキ アッラ ロマーナを添えて

④ラパンと豚足のアリバブ風 ペドロヒメネスとカカオのソース

⑤牛ほほ肉の赤ワイン煮込み 磯辺揚げ風 八丁味噌香る赤ワインソース

⑥フォアグラとサルシッチャを詰めた仔羊背肉のアロースト 濃縮したスパイシーなバルサミコとマルサラ風味黒にんにくの2種類のソース

最終審査の結果、洋食部門の最優秀賞には、川崎工場 洋食調理部の倉橋圭悟さんが考案した「ラパンと豚足のアリバブ風 ペドロヒメネスとカカオのソース」が選ばれました。倉橋氏は今回が本選3回目の挑戦。

このメニューは、フランスでポピュラーな食材であるウサギ(ラパン)を使用し、ウサギのたんぱくな身に、味に深みとコクを与える豚足を合わせることで、「リエーブル ア・ラ・ロワイヤル」という伝統的なフランス料理を独自に解釈して仕立てた一皿です。ソースは、ペドロヒメネス(シェリー)とカカオ、シェリーヴィネガーを組み合わせ、旨味、苦味、酸味が三位一体となるバランスを追求しました。

製菓部門のテーマと最優秀賞

製菓部門のテーマは「ファーストクラス Coldデザート想定 生菓子マロンデザート」。コンテストが秋から冬にかけて開催されるため、季節感のあるマロンが選ばれました。

①ミエル・エ・マロン

②小さい秋みつけた

③ジャパニーズモンブランetティラミス

④ルミエール・ド・トンヌ

⑤マロンショコラ

⑥生ガトーのモンブランとオレンジ風味のカタラーナ サンクサンフィーユ

製菓部門の最優秀賞には、ペストリー部 ペストリー課の中平麻弥さんが考案した「ミエル・エ・マロン」が輝きました。このデザートは「軽やかな秋」をイメージしており、蜂蜜をベースとしたムースに、ローストしたアーモンド、クリ、ピスタチオを刻んだナッツを忍ばせ、中心にマロンムースとカシスのジュレを閉じ込めた構成です。中平氏は、栗の風味とカシスの酸味によって全体に一体感を出し、食感のコントラストが楽しめるように工夫した点を強調しました。

審査員からは、いずれの料理も質が高く、点数付けに悩むほどのレベルであったとの評価がありました。また、ANAグループ役員は、グローバル市場でのプレミアム戦略の中で、機内食には驚きや独創性がますます求められており、今回のコンテストがグループの未来を支えるものだと期待を表明しました。最優秀賞を受賞した倉橋氏と中平氏は、これまでの努力が報われたと喜びを語りました。

この記事を書いた人

海外取材の合間に世界を旅しながら記事執筆を続けるノマド系テクニカルライター。雑誌・週刊アスキーの編集記者を経て独立。IT、特に通信業界やスマートフォンなどのモバイル系のテクノロジーを中心に取材・執筆活動を続けています。

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