NTTドコモは4月25日、新しいブランドスローガン「繋ごう、驚きを、幸せを」を体現する料金プランのイノベーションを発表。これまでのデータ利用量に応じたプラン体系を見直し、顧客の多様なニーズや興味関心、ドコモならではのサービスを軸とした様々なバリューを盛り込んだ新しい料金プランを提供すると説明した。
中心となる新プランは、データ通信量は無制限で利用できる「ドコモMAX」。このプランには、ドコモならではの多様なバリューが含まれており、主なものとしてスポーツ映像配信サービス「DAZN」が追加料金なしで見放題となる。また、「Amazonプライム」の6ヶ月無料特典(7ヶ月目以降は月額料金の20%ポイント還元)、国際ローミング無料特典(ahamoの約90ヶ国超に対し、200ヶ国超、具体的には211の都市に対応)、長期利用割引、Lemino優待などが含まれる。これらのバリューや、同時に発表されたポイ活支援サービス「ドコモポイ活MAX」、各種セット割を組み合わせることで、基本料金8.448円が、実質月額2,680円(税込3,000円未満)での利用も可能になる。
発表会では、DAZNジャパンとの包括協業契約を締結したことを発表。DAZNジャパンの笹本CEOは、ドコモMAXおよびドコモポイ活MAXユーザーにDAZNの全コンテンツを追加費用なしで提供し、日本のスポーツ体験を革新させたいと述べた。この追加料金なしでのDAZN提供はドコモ独自の取り組みであり、他の通信事業者では同様の提供は行わないと説明。また、DAZNの値上げに関わらず、現時点ではドコモMAXの料金を値上げすることは考えていないと表明した。これはキャンペーンではなく、ドコモMAX料金に固定で含まれるプランだと説明している。
ドコモMAXに加え、月間20GBまで利用可能な「ドコモポイ活20」 や、データ利用量が少ない顧客向けに小容量プラン「ドコモmini」として4GBと10GBのコースも用意されている。ドコモポイ活20は月間20GBまでを実質1,880円(税込2,068円)で利用できるが、DAZNや国際ローミングなどの特典は一部含まれない。
新プランのうち、ドコモMAXとドコモポイ活MAXは発表会当日から事前エントリーの受付を開始。ドコモポイ活20とドコモミニは6月5日から提供開始予定となっている。既存のirumoおよびeximoプランは新規受付を終了。irumoの新規受付終了については、MNPでの利用があったことやデータ利用状況の増加、プランの分かりやすさを考慮した結果だと説明した。ahamoについては、ターゲット層や使い勝手が異なるため、引き続き提供される。
今回の料金改定の背景については、単にデータ量と価格だけでなく、いかに価値を入れ込んだプランで顧客に選んでもらうか、というコンセプト転換が最大の狙いだと説明があった。ドコモMAXに様々なバリューを詰め込んだことでプランが複雑になったとの指摘に対しては、バリュー提供とシンプルさは二律背反ではないとの考えを示した。長期利用割引は、長くドコモを利用している顧客からの要望に応えたものだという。今後の展開として、ドコモMAXのバリューをさらに進化させていくとともに、スポーツ以外のエンターテイメント分野(音楽、お笑いなど)での新たなバリュー提供も検討していく方針を示した。
発表会には、元サッカー日本代表の槙野智章氏、元プロ野球選手の杉谷拳士氏、お笑いコンビのすゑひろがりずがゲストとして登壇し、スポーツやDAZNへの熱狂について語り、リフティング対決で発表会を盛り上げようとしていた。
ドコモは今後も「驚きを、幸せをマックスに」というメッセージと共に、新しい料金プランを通じて顧客の生活に豊かさをもたらし、スポーツ熱狂時代を牽引していく考えを示した。DAZNの笹本CEOは、ドコモとの提携により、日本のスポーツ体験をより熱く情熱的なものへと革新させると述べた。また、サッカーJリーグの野々村チェアマンからも、今回の提携は日本のスポーツ界にとって画期的であり、大きな期待を持っているとのビデオメッセージが寄せられた。DAZNは今後、ドコモが保有するデータと連携した広告事業や、スタジアム・アリーナでのプレミアム体験の創出なども検討していく。DAZNドコモは2017年2月にサービスを開始しており、この8年のパートナーシップが次のステージに進化した形だという。
質疑応答では、DAZNの料金改定について、ドコモはどのように責任を持つかとの質問に対し、DAZNはスポーツ投資のため料金が反映される形が続いたが、ドコモとの提携により、より多くの人がスポーツに気軽に接する機会ができたと回答した。この提携はDAZNから見て、ドコモとの間で排他的な形(他の通信事業者で同様のことは行わない)であると確認された。また、KDDIとは有料バンドルでの提携は継続するが、追加料金0円での提供はドコモのみとなる。低価格帯プランの見直しについては、顧客のデータ利用状況の増加や、プランの分かりやすさを考慮した結果だと述べた。irumoがMNPで利用されることが多かったことも影響した。一方で、データ量が少ない顧客向けには、ドコモミニ(4GB/10GB)をリーズナブルな価格で提供し、競争力は十分維持できると考えている。
DAZNを料金に含めることについて、DAZNが不要な顧客への対応や、そのコスト負担について質問が出た。ドコモ側は、スポーツを応援する人がマイノリティとは考えておらず、多くの顧客に支持されると見込んでいると回答した。また、DAZNだけでなく、Amazonプライムや国際ローミング、長期割引など幅広いベネフィットを提供しているとし、DAZNが不要な顧客にも価値があるプランだと説明した。今回のプランは、顧客基盤を盤石にするという狙いの一環でもあると述べた。
プラン名について、irumoやeximoが分かりにくいという顧客の声があった反省を生かし、今回はドコモMAXという分かりやすい名前にしたと説明した。
DAZNとの契約内容の詳細については回答を控えたが、両社にとって収益が成り立つ契約になっていると述べた。なぜDAZNを選んだのかについては、顧客誘引力とスポーツに特化したコンテンツであることを理由に挙げた。


