NAB 2025に向けて新製品とアップデートを発表
Blackmagic Designは、NAB 2025に向けて、多数の新製品とソフトウェアアップデートを発表しました。今回の発表は、カメラ、スイッチャー、IPビデオ製品、ライブストリーミングソリューション、そしてDaVinci Resolveにまで及び、プロフェッショナルビデオ制作のワークフローを大幅に進化させる可能性を秘めています。

メディアバックアップとストレージ
増え続けるメディアファイルのバックアップニーズに応えるため、Blackmagic Cloud Backup 8が発表されました。本製品は、低コストな3.5インチハードディスクを使用し、最大8台のHDDを搭載可能なラックマウント設計です。ネットワーク接続された複数のユーザーからのアクセスに対応し、Blackmagic Cloudとの同期も可能です。さらに、USB-C接続により、ローカルストレージとしても利用できます。価格は1495ドルで、近日発売予定です。また、Blackmagic Cloud Store 1.7は、この新製品をサポートします。

SDIルーター
スペースが限られた環境に最適な小型SDIルーターとして、Blackmagic Videohub Mini 4×2 12G、Blackmagic Videohub Mini 6×2 12G、Blackmagic Videohub Mini 8×4 12Gの3つの新モデルが登場しました。これらのルーターは、12G-SDIに対応し、SD、HD、Ultra HDの様々なフォーマットを同時に扱うことができます。フロントパネルには操作ボタンとカスタマイズ可能なラベルが搭載され、直感的なルーティングが可能です。

リアパネルには、入力、ループ出力、メイン出力に加え、イーサネットポートによるリモートコントロールやビデオプロトコルにも対応します。特に、フロントパネルに緊急入力コネクターを搭載し、急な接続にも対応できる点が特徴です。また、USB-CポートはHD Webカメラ出力としても機能します。クリーンなスイッチング機能は出力ごとに設定可能で、ストリーミングと収録で異なる設定ができます。価格はそれぞれ595ドル、795ドル、995ドルで、順次発売予定です。
コンバーター
多様なビデオフォーマットと接続規格に対応するため、2つの新しいコンバーターが発表されました。Blackmagic 2110 IP UpDownCross 12Gは、SD、HD、Ultra HD間の高品質なアップ/ダウン/クロスコンバージョンに加え、SMPTE ST 2110 IPビデオをサポートします。12G-SDI、HDMI入出力、10Gイーサネットポートを搭載し、様々なソースとデスティネーションに対応します。内蔵LCD、オーディオメーター、スピーカーによるモニタリング機能も備えています。価格は545ドルで、5月または6月発売予定です。

Blackmagic 2110 IP SDI to HDMI 12Gは、SDIおよびIPビデオ信号をHDMIに変換するモニターリングソリューションです。2チャンネルモデルと10チャンネルモデルがあり、後者はサラウンドサウンドモニタリングに対応します。2110 IPソースまたはSDI入力からのループ出力、XLRアナログオーディオ出力、オーディオレベル調整機能、オーディオディレイ機能などを搭載しています。リモートボリュームコントロール用のコネクターも備えています。価格は2チャンネルモデルが495ドル、10チャンネルモデルが795ドルで、どちらも5月または6月発売予定です。
キャプチャーカード
ハイエンドなIPビデオキャプチャーニーズに応えるDeckLink IP 100Gが発表されました。100Gイーサネットを搭載し、複数の高解像度ビデオチャンネルの同時処理を可能にします。価格は1795ドルで、6月発売予定です。

ATEM Constellationスイッチャー
大規模なライブプロダクションに対応するため、ATEM 4 M/E Constellation 4K Plusが登場しました。80個の12G-SDI入力(全入力にフォーマットコンバーター内蔵)と48個の12G-SDI出力を装備し、圧倒的な接続性と処理能力を提供します。タリー、トークバック、カメラコントロールは全出力にエンベデッドされます。4つのメディアプレーヤー、16個のATEMアドバンストアップストリームクロマキー、12個の内蔵DVE、SuperSourceプロセッサーなど、豊富な機能を搭載しています。価格は12995ドルで、6月発売予定です。

既存のATEM Constellation 4 M/Eおよび2 M/Eモデル向けには、シャドウバス機能とタリー機能の拡張を含むソフトウェアアップデートが無償で提供されます。シャドウバス機能により、複数のM/Eを連携させ、ソースの代替機能などを実現できます。
HyperDeckレコーダー
HyperDeck Shuttle 4K Proは、7インチHDR LCD、サーチダイヤル、トランスポートコントロールを搭載した強力なレコーダー/プレーヤーです。ProRes、DNx、H.264に加え、H.265に対応し、プロンプター機能やH.264プロキシ記録も可能です。SDカード、UHS-IIカード、USBディスク、そして10Gイーサネットによるネットワークストレージへの記録に対応します。内部M.2ストレージカードもサポートします。12G-SDI入出力(ループアウト、フィル/キー出力)、HDMI入出力、3G-SDI/HDMIモニター出力、422デッキコントロール、USB-Cポート、リファレンス入出力など、豊富なインターフェースを備えています。Blackmagic Cloudとの同期も可能です。価格は1495ドルで、2TBストレージ内蔵モデルは1895ドルです。近日発売予定です。

HyperDeck ExtremeおよびBlackmagic Video Assist向けには、Blackmagic Cloud同期機能を追加するソフトウェアアップデートが近日中に提供されます。
コントロールパネル
低価格なハードウェアコントロールパネルとして、バッテリー内蔵のATEM Micro Camera Panelが発表されました。Iris、Pedestalの調整ノブ、フォーカスアシスト機能などを備え、USBまたはBluetoothでATEMソフトウェアコントロールと連携します。価格は595ドルで、数週間以内に発売予定です。

ATEM Mini Extreme ISO G2
ATEM Mini Extreme ISO G2は、HDMIスイッチャーのハイエンドモデルです。8つのHDMI入力(全入力にフォーマットコンバーター搭載)、10個の入力ボタン(アサイン可能)、改良されたオーディオミキサー(10個のノブ、ソロ/セレクトボタン)、マニュアルトランジションフェーダー、6つのマクロボタン、プレビューバスなどを搭載しています。4つのアップストリームアドバンストクロマキー、2つのダウンストリームキー、2つのメディアプレーヤー、2つの独立したDVE、SuperSourceプロセッサー(4つの専用DVE内蔵)、最大16分割可能なマルチビューなどを備えています。

リアパネルには、ヘッドフォンジャック、コンボXLRアナログオーディオ入力(ファンタム電源対応)、MIDI入力(32チャンネルオーディオ)、8つのHDMI入力、カメラコントロール対応HDMIスルー出力、3つのHDMI出力(ルーティング可能)、タイムコード/レコードトリガー対応HDMI出力、Thunderbolt接続、USBポート×2、CFexpressカードスロットを搭載しています。Thunderbolt接続により、DaVinci Resolveとの連携が強化され、フィル/キー再生、ライブビデオ出力、ネットワークストレージアクセス、ISOファイル編集などが可能です。DaVinci Resolveとの連携によるリプレイ機能もデモンストレーションされました。価格は1995ドルで、6月または7月発売予定です。
ストリーミングソリューション
Blackmagic Web PresenterはBlackmagic Streaming Encoderに名称変更され、HDモデルと4Kモデルが提供されます。既存の機能はそのままに、より分かりやすい製品名となります。

新しいハードウェアデコーダーとしてBlackmagic Streaming Decoder 4Kが発表されました。H.264とH.265の両方に対応し、HDおよびUltra HDのデコードが可能です。ラックマウント設計で、HDMIおよびSDIビデオ出力、SDIリファレンス入力を備えています。価格は675ドルで、1~2ヶ月以内に出荷予定です。

Blackmagic Cloudを活用したグローバルストリーミングソリューションが発表されました。Stream Routingアプリを通じて、Blackmagic Cloudに接続されたカメラやエンコーダーからのライブストリームを、世界各地のデコーダーやDaVinci Remote Monitorアプリにルーティングできます。タリーやカメラコントロールもクラウド経由で送信可能です。iPhone/Android用アプリBlackmagic CameraもBlackmagic Cloudストリーミングに対応し、手軽にライブ配信が可能になります。クラウドベースのATEM Constellation HD4も発表され、仮想ライブプロダクションスタジオの構築が可能です。クラウドストリーミングの料金体系は、デスティネーションあたり月額約2ドルとなる見込みです。
カメラ
Blackmagic Cameraソフトウェアアップデートにより、オートフォーカス機能、プリレコード機能、Micro Studio Camera 4K G2のPYXIS Monitorサポートがそれぞれ提供されます。
URSA Cine 17KおよびURSA Cine 12Kのボディオンリーモデルが発表されました。これにより、ユーザーは自身の保有するアクセサリーを活用してカメラを構築できます。URSA Cine 17K 65ボディはPLレンズマウントと8TBメディアモジュールが付属し、価格は21995ドルで、現在予約受付中です。

Blackmagic PYXISをテレビプロダクション向けに強化するアクセサリーとして、Blackmagic PYXIS
Pro Handle(895ドル)とBlackmagic PYXIS Pro Grip(119ドル)が発表されました。これらのアクセサリーは、ビューファインダー、マイク、ズームコントロール、タリーインジケーターなどを追加し、Pixusをニュースや放送用途に最適化します。6月または7月発売予定です。
Blackmagic PYXIS 12Kの新モデルは、12Kフルフレームセンサーを搭載し、10Gイーサネット、高速USB-Cポートなどを装備しています。Lマウント、EFマウント、PLマウントの各モデルが4995ドルで、7月発売予定です。
Cintelスキャナー
8mm/16mmフィルムに対応した新しいCintelスキャナーCintel Scanner G3 HDR+ 8/16が発表されました。既存モデルと同価格の32450ドルで提供されます。

DaVinci Resolve 20
DaVinci Resolve 20では、Apple Immersiveワークフローのサポート、空間オーディオ対応、テキストプロンプトに基づき映像コンテンツを生成するAIセットエクステンダーなどの新機能が搭載されます。DaVinci Resolve 20およびDaVinci Resolve Studioは無償でダウンロード可能で、パブリックベータ版が公開されています。

Blackmagic Cloud
Blackmagic Cloudは、ポストプロダクション向けにストレージ、共有、検索機能が強化され、AIベースの顔認識機能も追加されます。

今回のBlackmagic Designの発表は、広範な製品ラインナップにわたる革新的なアップデートと新製品の投入であり、プロフェッショナルビデオ制作のあらゆる領域に大きな影響を与えることが期待されます。