Xiaomi(シャオミ)は3月13日、東京にてプレス向けイベント「Xiaomi 新製品発表会(2025上期)」を開催し、最新フラッグシップスマートフォン「Xiaomi 15 Ultra」と「Xiaomi 15」を筆頭に、タブレット、ウェアラブル、スマートホーム製品など、幅広い新製品ラインナップを発表した。会場には、小米技術日本 取締役副社長の鄭彦(テイ ゲン)氏、同 プロダクトプランニング本部 本部長の安達晃彦氏に加え、ライカカメラジャパン 代表取締役社長の福家一哲氏、写真家の市川渚氏、イオンモール株式会社 取締役 上席執行役員 営業担当の坪谷雅之氏らが登壇し、新製品の魅力や日本市場への戦略を語った。

グローバルで躍進するXiaomi、日本市場での成長へ新たな一歩
発表会の冒頭、鄭彦氏はグローバルにおけるXiaomiの目覚ましい成長を紹介。世界第3位のスマートフォンブランドとしての地位を維持し、前年比15%増という高い成長率を誇っていること、タブレットやウェアラブル市場でも着実にシェアを拡大していることを強調した。さらに、昨年3月に参入したEV(電気自動車)市場では、「Xiaomi SU 7」が1年足らずで18万台を納入する驚異的な実績を挙げ、EVセダンの最速記録を更新したことにも触れた 。
日本市場においては、昨年、日本初のライカカメラ搭載スマートフォン「Xiaomi 14 Ultra」の発売や、31ものIoT製品を一挙に発表するなど、積極的な展開を図ってきた。渋谷パルコでのポップアップストアの成功は、日本でのXiaomi Store展開への大きな自信につながったと述べた2。
そしてこの日、鄭彦氏より日本初となるXiaomi Storeのオープンが正式に発表された。3月22日に「Xiaomi Store イオンモール浦和美園店」、4月5日に「Xiaomi Store イオンモール川口店」が相次いでオープンする。これらの店舗は、Xiaomi製品を実際に体験し、購入できる新しいコミュニティスペースとして位置づけられ、Xiaomiのミッションである「イノベーション For Everyone」の実現に向けた重要な一歩となる 。
イオンモールとのパートナーシップについては、坪谷氏が登壇し、中国や東南アジアの26のモールで既にXiaomi Storeが展開されている実績を挙げ、ファミリー層との親和性の高さから、日本のイオンモールへの出店に至った経緯を説明した。
フラッグシップスマートフォン「Xiaomi 15 Ultra」:ライカとの共創が生む究極の撮影体験
続いて、安達氏より待望の最新フラッグシップスマートフォン「Xiaomi 15 Ultra」が発表された。昨年グローバルから遅れての発売となった「Xiaomi 14 Ultra」に対し、今年はグローバルとほぼ同時に日本市場へ投入される。
「Xiaomi 15 Ultra」は、Leica(ライカ)との共同開発によるクアッドカメラシステムを搭載。14mm超広角、23mmメイン、70mmフローティング望遠、100mmペリスコープ望遠のトリニティレンズ構成により、14mmから200mmまでの焦点距離をカバーし、プロフェッショナルな撮影体験を提供する。
特に、100mmペリスコープ望遠カメラには、通常メインカメラにも搭載されることの少ない1/1.4インチの2億画素センサーを採用し、Xiaomi 14 Ultraと比較して2倍以上の光を取り込むことができるという。最大120倍のズーム機能に加え、ポートレート撮影や夜間撮影においても圧倒的な性能を発揮する。
発表会では、実際にステージから会場後方約20mの距離にあるパネルを130倍ズームで撮影するデモンストレーションが行われ、その驚異的な望遠性能を披露した。
さらに、別売りの「Xiaomi 15 Ultra Photography Kit Legend Edition」も発表。取り外し可能なサムレストやレリーズシャッターボタン、2000mAhのバッテリーを内蔵し、撮影体験をさらに向上させる。
動画性能も進化し、8K録画、全焦点距離でのDolby Vision録画、10bit Log撮影に対応。Androidスマートフォンとして初めて、Adobe Substance 3D製品パートナーとしても認められた。
ディスプレイは6.7インチのWQHD+ LTPO AMOLED、最新のSnapdragon 8 Gen 3を搭載し、パフォーマンスも大幅に向上。冷却システムや5410mAhの大容量バッテリーも進化している。
価格は、16GB+512GBモデルが179,800円、16GB+1TBモデルが199,800円。本日より予約を開始し、3月18日より順次発売される。4月15日までに購入した顧客には、Photography Kitが無償でプレゼントされるなどの特典も用意されている6 。Xiaomi 15 Ultraは、先日開催されたMWC 2025にてベストプロダクトアワードを受賞しており、その実力は折り紙付きだ。
ライカカメラジャパンの福家氏は、「Xiaomiは写真撮影に強い関心を持ち注力しており、写真の楽しさを提供している点はライカと共通する」と述べ、両社のパートナーシップの深化に期待を寄せた。
コンパクトフラッグシップ「Xiaomi 15」:高性能と携帯性を両立、FeliCaにも対応
Xiaomiは、日本市場初となるコンパクトフラッグシップモデル「Xiaomi 15」も発表した。わずか191gの軽量ボディに、超狭額ベゼルによる6.35インチディスプレイを搭載し、片手での操作性を追求。背面には、ライカと共同開発したトリプルカメラ(14mm超広角、23mm広角、60mm望遠/テレマクロ)を搭載し、日常使いに十分な焦点距離をサポートする。
新機能として、日没前の時間帯に最適なポートレート撮影を自動で行う「サンセットポートレート」モードや、あらかじめ焦点距離と撮影距離を設定することで素早く撮影できる「ファストショット」モードを搭載。特にファストショットは、ライカファンには馴染み深いUI操作性に進化している。
プロセッサにはSnapdragon 8 Gen 3を採用し、高性能と省電力を両立。新世代の冷却システムや5200mAhの大容量バッテリーも搭載する。
価格は、12GB+256GBモデルが123,800円、16GB+512GBモデルが138,800円。本日より予約を開始し、4月1日より発売される。数量限定の「リキッドシルバー」カラーも用意される。予約・購入特典として、Xiaomi Smart Band 9 ProまたはSmart Band 9がプレゼントされるキャンペーンも実施される。
多彩な新製品群:タブレット、ウェアラブル、スマートホーム
スマートフォンに加え、Xiaomiは幅広いカテゴリーの新製品を発表した。
タブレット「Xiaomi Pad 7」シリーズは、11.2インチの3.2K/144Hzディスプレイを搭載。Snapdragon 7 Plus Gen 3またはSnapdragon 8 Gen 3を搭載した2モデルが用意され、専用のフォーカスペンやキーボードも発表された。
ミドルレンジスマートフォン「Redmi Note 14 Pro 5G」は、2億画素メインカメラ、1.5K有機ELディスプレイ、Dimensity 7200-Ultraチップセットなどを搭載し、高いコストパフォーマンスを実現する 。
ワイヤレスイヤホン「Redmi Buds 5 Pro」は、デュアルアンプシステムとトリプルドライバーによる高音質、最大55dBのノイズキャンセリング機能に加え、ケースに入れたまま録音できる機能やAIによる文字起こし・翻訳機能などを搭載する。Wi-Fi Losslessに対応した上位モデルも発表された。
スマートウォッチ「Xiaomi Watch S 4」は、1.43インチAMOLEDディスプレイ、回転式クラウン、ベゼル交換機能などを備え、健康管理やスマートホーム連携機能を強化。最大15日間のバッテリー持続時間も魅力だ。
スマートホーム製品としては、コードレス掃除機、エアフライヤー、Wi-Fiルーター(メッシュシステム対応)、スマートカメラ、体重計などが発表され、多様なニーズに対応する製品群を拡充する。Amazon限定で43インチのスマートTVも発売される。
Xiaomi HyperOS 2:デバイス間の連携とAI機能が進化
これらの新製品には、Android 15をベースとした最新OS「Xiaomi HyperOS 2」が搭載される。「Xiaomi Hyper Connect」によるデバイス間の連携がさらに高速化し、スマートフォンとタブレット間でのアプリのドラッグ&ドロップや画面共有などがよりスムーズに行えるようになる 。
AI機能も大幅に進化し、「Xiaomi Hyper AI」として、テキスト生成、要約、翻訳などをサポートする「AIライティング」、リアルタイムの音声文字起こし機能などを搭載。さらに、Googleとの強力なパートナーシップにより、Xiaomi 15シリーズのユーザーは有料版のGoogle AI「ジェミニ アドバンス」を3ヶ月間無料で利用できる特典も提供される 。
囲み取材:日本市場への戦略と新製品への自信を語る
発表会後に行われた囲み取材には、鄭彦氏と安達晃彦氏が応じた。
鄭氏は、グローバルで発表された製品の多くを日本市場に遅れることなく投入できる体制が整ったことへの意気込みを語った15 。Xiaomiの新しい戦略「人と車とホーム」に基づき、スマートフォンと連携するスマート家電をはじめとしたIoT製品の体験価値を日本の消費者に積極的に提案していく方針を改めて強調した 。
価格設定については、グローバルモデルとスペックを可能な限り揃え、グローバルでの大量販売によるコストメリットに加え、サプライチェーンの最適化やアグレッシブなプライシング戦略によって、魅力的な価格を実現できたと説明。特に、「Xiaomi 15 Ultra」のユーロ価格が20万円を超えるという大方の予想に対し、最終的に20万円を切る価格設定になった背景には、徹底的なコスト削減努力があったことを明かした。
販路戦略においては、キャリア販売に限定せず、自社のオンラインストアや新たにオープンするXiaomi Storeを軸に展開しつつ、家電量販店やMVNOなど、日本の市場特性に合わせたパートナーシップも重視していく方針を示した。Xiaomi Storeは、まず主要都市圏を中心に展開し、将来的には全国規模での展開を目指す。イオンモールへの出店は、中国や東南アジアでの実績に加え、Xiaomiの製品がスマートフォンだけでなく、幅広いライフスタイルソリューションを提供しており、ファミリー層との親和性が高いとの考えに基づいている 。
製品のローカライズについては、グローバルで高い評価を得ている製品を鮮度高く日本に導入することを第一優先としており、FeliCaの搭載などは今後の顧客からのフィードバックを踏まえて検討していくとした。グローバルモデルの開発においては、ハイエンドモデルを中心に周波数帯などを含め、できる限り単一のSKUで多くの国に対応できるように設計されている一方、廉価モデルではコスト最適化のために地域ごとのバージョンが存在する場合もあると説明した。
今後の製品展開として、今回発表された「Xiaomi 15」に加え、様々な価格帯の製品を投入していくことで、幅広いユーザー層にアプローチしていく考えを示した。背景には、昨年の実績を踏まえ、積極的に新製品を投入し、市場を開拓していくという方針があるようだ 。
カメラ機能については、プロカメラマンがシャッターボタンを押すだけで高品質な写真が撮れるようになることを目指しており、AIの活用による更なる品質向上への期待を示唆。ソフトウェア面での体験向上として、「Xiaomi Master Class supported by Leica」などのイベントも開催されていることを紹介した。
「Xiaomi 15 Ultra」のバッテリー容量について、中国版とグローバル版で差異がある点については、各国のレギュレーションや航空輸送時の規制に対応するための調整であり、コスト削減を目的としたものではないと説明。安全性向上のために、グローバル版ではデュアルセルバッテリーを採用するなどの違いも見られる場合があると補足した。
鄭氏は、日本市場を非常に重要な市場と位置づけており、今後も日本の消費者のニーズに合った製品とサービスを提供していくことで、更なる成長を目指すと力強く語った。